2008年 11月 16日
破綻の発端
どうも。きむらです。
年末です。
「金融危機のわりに実体経済は健全」なんてこちらのニュースは言っていますが、実際に街に出てみると、な〜んとなく今年のクリスマスは「しょぼい」感じがします。

まあ、そうですよね。
いくら「初めて住宅を買う人には政府から補助金が出ます」とか「低所得者や高齢者を対象に一時給付金を支払います」と言われても、これからの先行きが不透明なので、そうおいそれとショッピングに走るわけにもいきませんよ。

というか。
今のところの話題は「G20」の会議で、豪州がいかに先進国のひとつとして世界に認められているか、政府もマスコミもそればかりにスポットを当てているように見えるんですけど、本当の、すぐ目の前にある危機は破綻寸前(?)の
「ABC Learning」
じゃないかと思います。

ABC Learning というのは、豪州とNZに合計950の 保育所(2006年時点)を持つ豪州最大手の Child Care Centre(保育所)経営企業です。
保育所を利用していない人にはピンと来ないかもしれませんが、豪州国内の保育所のうち4分の1がこれなんだそうです。

どんな業種でも占有率25%ったら、すごいと思うんですが。

で、その会社が経営破綻してしまい、政府は緊急に22 million(約13億5千万円)の公的資金を投入し、取りあえず保育所を今年いっぱい運営することを保証しました。

経営破綻と同時に保育所閉鎖でないから、まだマシとも言えますが、
「今年いっぱい運営」ということは、
「来年以降はどうなるか分からない」
ですよね。

今年って、あと1か月と半分しか残ってないんですけど・・・・・。

きむらのところはきむら子供がだいぶ大きくなりましたので、現在は保育所の利用はしていませんが、小さいお子さんのいるご近所さんや友人・知り合いはほとんどが保育所に子供を預けて働いています。
そして、シェア25%ですから、その中にも当然 ABC Learning を利用している人も。
年が明けて、そういう人たちが一斉に「保育所難民」になったら、一体どういうことになるのだか。

「子供を保育所に預けられない労働者が続出」
↓          ↓
↓     (この時点であおり破綻するビジネスも?)
「保育所が確保できず結果として失業する労働者出現」→貧困・家庭不和
「労働者数減少。残った労働者で仕事分担」→過労から来るトラブル

「従来の労働モデルの崩壊」

「オーストラリア経済大打撃」

簡単にこんな予測が出てしまうところが怖いです〜。

それにしても。
特に保育業界に詳しくないきむらでも「ABC Learning が失速している」というニュースは一般のビジネス動向として去年ぐらいから耳にしていましたし、この業種が傾くと次に
何が起こるかはじゅうぶん予測可能なはずですから、今回の政府の対応は非常に遅く、かつ片手落ちとしか言いようがありません。
特に今年2月に株価が急落し、3月にアメリカで展開していた保育所運営ビジネスの一部をモーガン・スタンレーに売却した時点で「これ、ヤバいよね・・・」と何らかの対策を講じておく必要がありました。

しかし、その時期に政府やマスコミが注目していたのは豪州国内で行われた「2020」サミット。
これは「2020年を目標に据えた長期ストラテジーをさまざまな分野について討論するフォーラム」だったのですが、フタを開けてみると、豪州の各分野の第一人者たちとケビン・ラッド首相がキャンベラに集まってカジュアルな格好で歓談する様子を紹介するばかり。
会社などでよくやっている「管理職のリゾート合宿」と同じで「費用ばかりかかるわりに実益なし」といった感じでした。

で。
そうやって「未来を〜」とぶちあげてる足下で ABC Learning の株価は底値になり、2020年どころか、サミット開催から半年以内に豪州は経済危機を迎えてしまったのであります。

現在、ケビン・ラッド首相はスワン蔵相ともどもアメリカで「G20」に参加しており、ニュースではスピーチをしているところや世界の要人と一緒にいる様子ばかり紹介していますけど、ちゃんと意義のある話し合いをして何らかの解決策を豪州に持ち帰ってくれるのでしょうか。

(蛇足)
ここのところ公営放送(ABC。でも保育所とは別の団体)で歴代の豪州首相のドキュメンタリー番組をやっているので、歴史の勉強を兼ねて見ています。
きむらにとってはメンジース(Menzies)はホテルの名前、チフリー(Chifley)はランドマーク・タワーだったワケなんですが「そうか。オージーにとっては思い入れのある名前なんだなあ」などと感慨深く番組を見ました。

日本の首相とも共通する感想ですけど。
昔の首相は気骨があって、体を張って政務に取り組んでいたように思います。
そして際立つ個性があったような。

今のケビン・ラッド首相の場合は、きむらが斜に構えた目で見ているからかもしれませんが「アボリジニへの公式謝罪」も「2020サミット」も「環境問題(これに異様に力を入れている)」も、本当に心から重要性を認めて行った/行っているというよりは「一般受け狙い」「目立つ事業に関わって自分の名を後世に残したい」的な野望がありありのような気がします。

「中国語が堪能だから」と、就任してからズズズズズズッと中国に急接近して、鉄鉱石の輸出先(2004年までは日本が一番だった)の確保に努めてきましたけど、ここへ来て中国の鉄鋼メーカーがまさかの減産。
ご本人は鉄鋼の輸出量が減って首相の任期が満了しても中国関連の団体や中国企業の顧問など再就職先には困らないでしょうが、個人の好き嫌い(捕鯨については「環境問題」と絡めて異様に反対している)で国の将来を左右してしまっていいのだろうかと疑問に思います。

同じ労働党の首相でも、ポール・キーティング(Paul Keating、1991〜1996在任)は傲慢さの中に強烈な個性が光っていて心惹かれたんですけどねぇ。

(蛇足の蛇足)
普通に車で走っていると、本当によく積み木に描かれた ABC がシンボルの ABC Learning の看板を見かけます。
保育所は郊外ですと一軒家が多いですが、都心になるとビルに入っていて、庭の付いている一階部分やペントハウス付きの部屋がそのまま保育所になっていたりします。
そういや 2005、2006年ごろなどは新しく保育所がオープンすると十中八九 ABC Learning でした。

今、振り返ると、あの雨後のタケノコ状態が破綻の始まりだったんですねぇ。

拠点が増えると、普通「もうかってる」と見えがちですが、下手に営業所を増やし過ぎたあげく互いが小さい縄張りで顧客を食い合って共倒れになるケースもあるようです。
コンビニエンスストアなどはもう同じ通りに2軒も3軒もあって既に飽和状態になっているので、過当競争が激化するのは時間の問題だと思います。
他にも2、3「ちょっと手を広げ過ぎじゃない?」と感じるビジネスがありますけど「風説の流布!」と取られたりしたら怖いので、具体的な名前は出さないでおきます。

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by kaoru_oishi | 2008-11-16 00:02 | その他もろもろ


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