2006年 07月 13日
(超ローカルな話題でござりまする) どうも。きむらです。 W杯、終わっちゃいましたね。 今回、残念ながら日本はトーナメント進出がかなわず、きむらが必死に応援していたオーストラリアもトーナメント第1戦でイタリアに破れましたが、両国の試合以外にも見どころ満載で、最後のさいごまで楽しみつくしました。 2002年の大会中に日本に居合わせなかったからでもありますけど、おそらく自分的には今までで一番印象深い大会だったと思います。 「マラドーナ、すげ〜っ!」と驚いたのが1986年ですから、もう20年になるんですよね、きむらがサッカーW杯を観るようになってから。 (1990年は貧乏でTVがなかったので未見、94年は人生で最も忙しい1年でやはり未見、ではありますが) ですけど、きむらは現行のJリーグが創設される前にオーストラリアに渡ってしまいましたから、90年代に入ってからの日本のサッカーブームは全然見ていません。 かたやオーストラリア。 サッカーはここでは本当にほんとうについ最近までマイノリティのスポーツでした。 視聴率が稼げるラグビー・リーグ、ラグビー・ユニオン、AFL(オーストラリアン・フットボール・リーグ)、テニス、水泳など、こちらの花形スポーツは大手民放のチャンネル9や7が中継を独占し、モータースポーツはチャンネル10、ネットボールはABC(国営放送)と割り当てが決まってましたが、マイナースポーツのサッカーを扱おうとするテレビ局はありませんでした。 SBS を除いて。 SBS は国営なんですけど、民族放送(英語以外の言語)が番組の中心に来ていますんで、はっきり言うと「採算度外視・視聴率争い無関係」の何だか不思議なTV局です。 全人口の割合から考えるとオーストラリア在住の日本人は決して多くないのですが、毎朝早朝にNHKの前夜のニュースをやってますし「エヴァンゲリオン」「攻殻機動隊」「SAMURAI CHAMPLOO」など「ぜったい、編成にアニヲタが混じっとるやろ!」と突っ込みを入れたくなるような番組、「日本映画」ってことで白黒時代の黒澤明の名作と「ゴジラ対ビオランテ」「お天気お姉さん」を同じ扱いで見せてくれますし(笑) 一般に放送局は客観性を重んじるものなんですが、ここに限っていえば、局の人たちの主観性が直球ストレートに番組作り&番組選びに反映されているとしか思えません。 で、その異色のTV局が、東京12チャンネルの「ダイヤモンドサッカー」のように長年に渡って世の中の流行とは全く関係なしに地味〜にサッカーを追い続けてきたのです。 SBS はきむらがオーストラリアに来た当初はハーバーブリッジの近く、ミルソンズポイント(Milson's Point)の貸しビル内にあり、外から会社のロゴは見えるものの「本当にあんなところでTV放送できちゃったりするんだ〜」と思ってしまうくらい小規模なものでした。 その後、社屋が St Leonards の近くの倉庫が立ち並ぶ辺りに移転し、ちょっとグレードアップした感はありますけど、自社制作番組は徹底的に半径1キロ以内の近場で済ませる「手作りっぽさ」は今でも健在です。 (きむらは地元民なので、SBS の放送を見ると「あ、今日は St Leonards 駅でインタビューしてる」「Crows Nest で「Pizza(SBS製作のおバカコメディ)」の収録か。お手軽〜」なんて、すぐに場所が特定できちゃうんです(笑)) 英語だと under dog (勝ち目の薄い人)というんですが、オーストラリアのTV界における SBS の立場はまさにそれです。 今でも覚えてますけど。 前回(2002年)のW杯のときは、な〜ぜか業界トップのチャンネル9がにわかにサッカーに食指を動かしまして、札束攻勢で視聴率が取れそうな好カードの放映権を根こそぎさらっていきました。 そして SBS はチャンネル9の食べ残し的なカードを放送することに。 開催国だからか日本戦もチャンネル9配下だったので、きむらもしぶしぶそっちを観ましたが、ハーフタイムに出てくるチャンネル9の視聴者プレゼントは「車」や「プラズマTV」でした。 で、 そのころ SBS からの視聴者プレゼントは何だったかというと。 ロゴ付き帽子など、ノベルティグッズの詰め合わせセット(脱力) 見ていて「これ、応募する人いないよ〜」と、思わず胸が痛みました。 でも。 きっと思うように視聴率が取れなかったんでしょう。W杯後、チャンネル9はあっさりサッカーから手を引き、再びサッカーは SBS のみが扱う日陰のスポーツに逆戻りしました。 ですが、その後大逆転が起こりました。 去年の11月に何とサッカルーズがプレーオフでウルグアイを下してW杯への出場を決め、SBS がオーストラリアの32年ぶりの返り咲きを独占放送することになったのです。 非英語話者&にわかサッカーファンとして長年 SBS の番組を見てきたきむらにとっても、これは痛快な出来事でした。 そして、2006年W杯ドイツ大会本番。 SBS はプレゼンター、コメンテイター、アナリストをドイツに送り、まるまる1か月ドイツから毎日サッカー番組を放送しました。 試合中継 約6時間 試合再放送 約4時間 サッカー番組 1時間 なぜか夜のニュースのアナウンサーもドイツに同行してそこからニュースやってましたし、1日の放送のほとんど半分近くがサッカー関係でした。 スポーツチャンネルでもケーブルテレビでもないのに、この充実ぶりはすごいです。 この局、普段は24時間放送はせず、深夜から明け方にかけては静止画像でひたすら音楽を流してるだけなんですから。 まだW杯最終戦の視聴率は発表されてませんが、今までのサッカルーズの試合は軒並み高視聴率で、深夜枠にも関わらず、スポーツイベントではシドニーオリンピックや2003年ラグビーW杯シドニー大会に次ぐそうです。 日本で言うと、千葉テレビやテレビ神奈川のような地方ローカル局がいきなり大手民放を押さえて視聴率レースのトップに立った感じですね。 さて、4年後の南アフリカ大会はどうなるんでしょう。 今回のサッカルーズの活躍と次回大会への出場の可能性を考えると、おそらく民放全部(ABCも加わるかも?)が放映権獲得に動きだし、今まで以上に熾烈な争いになるだろうと思います。 果たして弱小局の SBS は再び現地からの放送ができるのか。 ・・・・・。 なんて、きむらは勝手にハラハラしながら成り行きを見守っていますけど、SBS はどこ吹く風といった感じで今はもうひとつの毎年恒例のスポーツイベントを放送中です。 それは。 ツール・ド・フランス(汗) TV局でありながら視聴率穫りに全く関心がない、そんな SBS の男気に惚れました(笑) (蛇足) 昨日、FIFAの世界ランキング改訂版が発表され、日本がこれまでの18位から49位に大幅にランクダウンしたことが大きな波紋を呼んでいます。 で。 「にわかサッカーファン20年」のきむらには理解できないのですが、 どうしてW杯に出場しなかった国が出場国より上に来たりするんでしょうか。 「W杯以外の過去の試合記録も含むから」だろうとは思いますけど、 テニスのような個人競技と違いますし、4年に1度の晴れ舞台があるんですから、W杯終了を区切りに「ご破算に願いましては〜♪」と1度完全にリセットして、W杯を考慮した位置づけにしたほうが分かりやすいですし、励みになるような。 さもないと、 「W杯には一度も出たことないけど、ランキングは常に上位♪」なんて不条理な国があったりするのではっ?
by kaoru_oishi
| 2006-07-13 12:09
| It's Sporting Life
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