2011年 07月 31日
どうも。きむらです。 ネットのニュースで作家の小松左京が亡くなったのを知りました。 ショックです。 人間、誰でもいつかは亡くなるものですが、何となく小松左京だけはその小説のように 機械の体を手に入れるか、 自身のクローンを作るか、 自分の記憶を転写するか、 不老長寿の謎を解明するか、 別世界の生命体に転生するか、 宇宙人の肉を食べて光合成できる体になる、 などして、永遠に生き続けるんじゃないかと思っていたので。 全著作は一体何冊あるんでしょう。 きむらは豪に行ってしまうまでに刊行された本はたぶん「日本沈没」以外は全部買ってきむら実家に保管してあると思います。 きむらは中高校生で一番多感だった時期に小松左京・筒井康隆・星新一の「日本三大SF作家」をはじめとする日本のSF小説をむさぼるように読みました。 (ちなみに初めて読んだ小松左京の本は「エスパイ」で、そのとききむらは小学校6年だったと記憶しています。とんでもなくませガキでしたね(笑)) あのころはファンタジーはまだまだ台頭しておらず、ラノベは存在せず、SFは純然としたSFで、本のカバーイラストはリアルで重厚な生頼範義、すーっと直線シンブル画の真鍋博、悪夢のような杉村篤、おっさんくさい山藤章二あるいはサイケな横尾忠則(そして少し後に和田誠)で決まり! あのころのきむらはキャピキャピ空気が充満する女子校にひとり「SFの結界」を作って、日がな一日その世界に浸っておりました。「オタク」なんて言葉はまだありませんでしたが、もしきむらが今、高校生だったら間違いなく「ヲタかつ腐女子な子」と呼ばれていたでしょう。 出発点が「ませガキ」だったせいか、きむらは小松左京の短編小説の「ほどよいお色気」がとても好きでした。 「機械の花嫁」 「ダブル三角」 などは、手元になくてもすぐにタイトルやストーリーが思い出せます。 何というか、エロを追求するなら「富士見ロマン文庫」(今読んだら懐かしいかも(笑))等で直球ストレートのエロが堪能できたでしょうが、きむらの琴線をくすぐったのはエロそのものでなく、 「SF的なストーリー展開の中に自然に含まれるエロの描写」で、その観点で見ると小松左京の該当シーンは「エロ描写」でありながら、それよりさらに洗練された「艶めいた色気」が漂い、お座敷や着物姿の女性が出てくるようなくだりでは通俗小説の枠を超えた作者の知識と品格に感じ入ったものです。 (タイトルが思い出せませんが「愛し合いながらも一緒になれなかった男女の霊が中年の男女に取り憑いて昔の一夜を再現する」というストーリーの短編もありましたっけ。その描写もとても素敵でした) もちろん長編小説も読みまくりました。 「日本アパッチ族」 「さよならジュピター」 「復活の日」 革命を起こし日本をひっくり返す側だった主人公が最後に自分が立ち上げた新生政府に粛正されてしまう「日本アパッチ族」には学生運動の末に社会からこぼれ落ちてしまった元・学生闘士だった中高年の姿がダブりますし、グリーンピースやシーシェパードが無茶をしている映像を見ると「さよならジュピター」に出て来た、イデオロギーが先走って地球全体を滅亡の危機にさらす環境テロリスト集団を思い出します。 そして。 つらいとき、 特に疲れきってふらふら歩いているときには今でも「復活の日」の もう服とは呼べないボロボロの布をまとい、よろよろになりながらも杖をつきつつ北へ向かって懸命に歩く草刈正雄(役名思い出せません!) をイメージして自分を叱咤激励しています。 あるいは 「物体O(オー)」 「首都消失」 さながらの未曾有の災害の中にある今の日本で、 「あの話そのままじゃないか」 小松左京の小説を思い出しつつ、その登場人物たちのように日々奮闘している読者もいると思います。 ニュース記事によると、小松左京は亡くなる直前まで日本を気にかけていたそうです。 「日本と日本人を信じている」 愛読者にもそうでない人にとってもとても意義のある力強い遺言だと思います。 小松左京の新作を読むことはもうできませんが、これからは小説に出て来た魅力的な登場人物たちに少しでも近づけるよう生きていきたいと思います。 まずは、南アメリカを歩いて縦断できる脚力を目指すぞっ! (蛇足) これだけ好きな作家なのに、一番の代表作の「日本沈没」だけは読んでません。 読まなかったのは「テーマが嫌いだった」などといった理由ではなく、 「長らく文庫本になってなかったから」 貧乏なもので、刊行されたばかりの単行本はもちろんのこと、新書判ですら「高い!」と思い、ひたすら文庫化されるのを待っていたものです。 同じ理由で「ライ麦畑でつかまえて」や「アルジャーノンに花束を」(注:これらは小松左京の著作ではない)も実際に読むまでにずいぶん時間がかかりました。 アマゾンのサイトで見てみたらさすがにもう文庫本化されてましたが、いったん豪州に行ってしまうと、なかなかいいタイミングで読みたい本を入手することができなくなってしまうんですよね。 読みたくなったら待たずに読む! もう自分も歳ですし、いつまでも先送りにしてちゃいけないなと思います。 (蛇足の蛇足) あと、小松左京のショートショートで「蜘蛛の糸」というのもありまして、 それもまたすごい小説なんです。 何がすごいかというと。 その小説がきむらのその後の生き方を決めた、というくらいで。 でも。 それだけ感銘を受けたので他の人にも薦めるんですが、どうも今ひとつ「なぜそれがすごいのか」が伝わらない感じです。 その小説、タイトルの通り芥川龍之介の超有名小説をパロったもので、wikipedia で「蜘蛛の糸」を検索するとあらすじがそのまんま載っています。 きむらは元ネタよりこっちのほうが断然好きなんですけどねぇ。
by kaoru_oishi
| 2011-07-31 17:34
| クールジャパン
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